2015年 10月 07日

Please don't open the door

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その異国の男は、道玄坂の坂下でひとり、壁にもたれ、道路にべったりと座っていた。
終始うつむいていて、細かい表情は読み取れない。酔っているのだろうか。

横顔は欧米人らしく、いかにも彫りの深い顔立ち。少し禿げ上がった頭。擦り切れたジーパンとレザージャケット。歳は若そうに思えた。絵になる男だった。

道行く初老の日本人が、一言二言、言葉をかける。彼はそれに愛想よさそうに応えていた。

「いける」・・・・その時僕はそう思った。Excuse me,Would you take a picture ? そう僕は声をかけた。僕の方を向いた彼の顔を見て、その時、初めて気がついた。彼は泣いていたのだ。

Why ?  その返答に対して、僕はどう答えるべきかをしっかり準備しておくべきだったのだろう。ましてや、声をかけた相手が泣いていることだってあり得るのだから。

その日、彼にはとても悲しい出来事があったらしい。彼は多くを語ろうとしなかった。もしかしたら僕の英語力が乏しくて、それを理解できなかっただけかもしれない。

彼はチュニジア人で、日本に長く住んでいるが、日本語は喋れないと言った。「なぜ、僕を撮りたいなんて思うんだい? もし君が僕の国を訪ねてきたら、僕は君を家に招いて、食事をもてなすだろう。街を案内してもあげるだろう。でも今、こんな僕を写真に撮りたいなんて言わないでくれ」彼は、言った。

sorry・・・・力なくそう言うしか僕には選択肢がなかった。僕はありったけの英語力を総動員して、悪気が無かったことを彼に伝えた。彼に気持ちが伝わったかどうかはわからない。彼が最後に右手を差し出し、僕に握手を求めてくれた事だけが僕にとっての唯一の救いだった。

・・・・・・・

「写真を撮らせてください」・・・・そう声を掛けることは、とても勇気がいるし、すごく難しいことですね。ましてや僕の乏しい英語力で異国の人にそれを挑戦するなんて、今から考えたらどうかしていたとしか思えません。
でも、何か、色々な意味で心に残る出来事でした。残さなければいけないと思える出来事でした。良い意味でも、悪い意味でも・・・・。

しばらく続いた「SUMMER WORKS 2015 」は前回で終了し、今日からまた、平常営業に戻ります。
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by photonine | 2015-10-07 22:30 | Monochrome | Comments(2)
Commented by syaraku-sya at 2015-10-08 13:11
NINEさん こんにちは。
色々とご心配をお掛けいたしました^^;
食べ物の美味しい季節の禁酒(辛かった^^;)。。。そして医者から貰った良く効く薬のお蔭で(笑)。。。
普通の日常生活を送れるまで復活致しました(笑;)
写真は全く撮りに行っていないので。。ブログネタも無く^^; 再来週あたりから
スローペースで復活予定です!
ありがとうございました♪
Commented by photonine at 2015-10-08 13:57
>syaraku-syaさん

こんにちは。大病ではなくて、何よりです。まっ、禁酒は致し方ないところですよwww
また、刺激のあるお写真、楽しみに拝見させていただきます!
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